大阪高等裁判所 昭和50年(ネ)1965号 判決 1977年2月15日
控訴人
福永栄介こと
文柄洙
外七名
右八名訴訟代理人
北逵悦雄
被控訴人・附帯控訴人
有限会社大東土地商会
右代表者
金盛良夫
右訴訟代理人
井関和彦
外三名
主文
1 附帯控訴に基づき原判決主文一の5を次のとおり変更する。
2 控訴人森田年彦は被控訴人に対し、本判決添付第二物件目録記載(一)ないし(三)および(五)ないし(八)の各土地について、奈良地方法務局富雄出張所昭和三四年二月四日受付第三六一号同年同月三日売買予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記に基づき、同目録(四)の土地について、同法務局同出張所同三五年三月一〇日受付第一〇一二号同年二月一日代物弁済予約を原因とする所有権移転請求権保全仮登記に基づき、各所有権移転登記手続をせよ。
3 本件控訴を棄却する。
4 控訴費用及び附帯控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実《省略》
理由
一当裁物所の判断は、次に付加・訂正するほか、原判決理由記載のとおりである。
原判決二一枚目表一二行目の「農地経営に必要な慕地」を「墓地、」と、同裏三行目の「真実は」から同一〇行目の「約定した。」までを「森太郎・被控訴人間に被控訴人主張の売買契約及び仮登記の約定が成立した。」と、同一一行目の「原告」を「森太郎」と、二三枚目表二行目の「および同文柄洙」を「・同文柄洙及び当審証人韓泰子」と、各改め、二四枚目裏一一行目の「除」の次に「く」を加え、二六枚目表一〇行目「四」の次から二七枚目表八行目までを次のとおり改める。
<証拠>によると、被控訴人主張のとおり、第二の各土地はその後非農地となり、地目変更の登記もされ、所有権が被控訴人に移転したことを認めうる。
本件のように、知事の許可と同時に所有権移転の効力が発生する農地売買契約を締結し、仮登記をする場合、不動産登記法二条二号により、売買契約を原因として条件付所有権移転の仮登記をすべきである。
本件のように、知事の許可と同時に所有権移転の効力が発生する農地売買契約を締結したのに、誤つて代物弁済予約又は売買予約を原因として所有権移転請求権保全の仮登記が経由された場合、後日右土地が非農地となつて所有権が仮登記権利者に移転したときは、仮登記権利者は仮登記義務者に対し右仮登記の本登記手続、登記上利害の関係を有する第三者に対し右本登記の承諾を請求しうる(最高裁昭和三七年七月六日判決、民集一六巻七号一四五二頁参照)。
従つて、被控訴人に対し、控訴人森田は右仮登記の本登記手続、控訴人朴は右本登記の承諾をすべき義務がある。
二よつて、附帯控訴に基づき原判決主文一の5を変更し、本件控訴は理由がないから棄却し、訴訟費用の負担について民訴法九五条・八九条・九三条を適用して、主文のとおり判決する。
(小西勝 山田敬二郎 和田功)